ストライク・キス31

「助けて下さい、お嬢様」
 「心を強く持って下さい…!」
 タニンが懸命に叫んでも届かず。
 物憂げに笑うリリスティア。
 「タニン君には分からないわよ」
 傷付いた顔のタニン。
 片手を差し出すリリスティア。
 私はその行為に幻滅を感じながら――
 唇が手の甲に触れる。



 顔を上げるとリリスティアが笑ってて。
 ありがとうと頭を下げた。
 幸せそうな微笑みね。
 これも前世を捨てたから?
 私は笑みを返せない。
 「それでも――」
 タニンはうつむいて
 「それでも、前世から逃げる人は少ないんですよ」
 言われなくても分かっているわ。
 でも私は笑う。
 平然と笑えるの、敵にならば。
 …うんざりだわ。
 「それでも、負けて上げない」
 「ならば――僕はキスの数(こういう)勝負の代表らしく、あなたの心を折らねばならない」
 私たちは「前世はいらない」か「前世は大切だから守って」と言わせないとあのキスは出来ない。キスが一人で出来ないように、相手の同意がないならばストライクとカウントされないの。無理矢理前世を奪ったり保護したりは出来ない。
 だから騙しでも脅迫でも懇願、説得、激励でも何でもいいから(私サイドなら)「やっぱり前世は必要かしら」という心を折ってしまうことが重要。
 もちろんタニンもそうやって落としてきたはず。
 その矛先が私に向かったというだけ。
 「そう。なら、どう落としてくれるのかしら?」

theme : 自作連載小説
genre : 小説・文学

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Author:ろびんにゃ
結局の所、花井好きですー。

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